<第40回日本肝臓学会東部会(2014年11月27日?28日)にて発表>ブロッコリーの新芽由来の機能性成分 スルフォラファングルコシノレート(SGS)による肝機能改善効果を確認 <第40回日本肝臓学会東部会(2014年11月27日?28日)にて発表>ブロッコリーの新芽由来の機能性成分 スルフォラファングルコシノレート(SGS)による肝機能改善効果を確認

2014年11月19日

東海大学医学部付属東京病院(病院長:松嶋成志、所在地:東京都渋谷区)副院長・教授 西崎泰弘を中心とする研究グループとカゴメ株式会社(社長:寺田直行、本社:愛知県名古屋市)は、ブロッコリーの新芽に含まれる機能性成分“スルフォラファン”を継続的に摂取することによって肝機能が改善されることを、γ-GTPなどの肝機能マーカーの値が高い男性を対象とした試験において明らかにしました。

【スルフォラファン】

米国を代表する医学校であるジョンズ・ホプキンス医科大学のポール・タラレー博士らにより、健康効果が期待される成分としてブロッコリーから発見されました。 これまでの研究により、スルフォラファンはブロッコリーの新芽(ブロッコリースプラウト)に多く含まれており※1、解毒作用、抗酸化作用、抗炎症作用などを示すことから、様々な疾病の予防・改善に有効である可能性が多数報告されています。

※1 食品中ではスルフォラファングルコシノレートとして存在し、体内で分解されることでスルフォラファンに変わります。

【本研究の概要】

被験者:
3種の肝機能マーカー(AST、ALT、γ-GTP)のいずれかの値が高い男性: 52名 (AST _ 35 IU/L、ALT _ 40 IU/Lまたはγ-GTP _ 80 IU/L)

試験に用いた食品
・スルフォラファングルコシノレート(SGS)を1粒当り10mg含むカプセル(スルフォラファンサプリメント)
・SGSを含まないカプセル(プラセボ※2)

※2 思い込みによる効果(プラセボ効果)ではなく、評価する薬や食品の有効成分の効果を確認するために用いられます。

試験結果
スルフォラファンサプリメントを1日3粒ずつ2か月間摂取した方では、主要な肝機能マーカーであるALTとγ-GTPの値が有意に改善しました。一方、同期間にプラセボを摂取した方では肝機能マーカーに変化は認められませんでした。

<まとめ>

  • スルフォラファンを継続的に摂取することで、肝機能が改善される可能性が明らかになりました。ヒトを対象にスルフォラファンの肝機能改善効果を示した報告は、世界でも初めてと思われます(カゴメ調べ)。
  • 本研究成果は、第40回日本肝臓学会東部会(2014年11月27日~28日)にて発表する予定です。
    (発表者: 東海大学医学部付属東京病院 非常勤准教授 菊池真大)

【東海大学医学部 教授・付属東京病院副院長 西崎泰弘コメント】
肝臓は人体における代謝の中心臓器であり、肝機能の優劣とくに脂肪肝の程度がメタボリック症候群や生活習慣病を左右すると云っても過言ではありません。基礎実験では肝機能改善の可能性が示されていましたが、今回ヒトで実証されたことは大変意義深く、肝臓専門医の立場からも期待が持てると実感しています。

【研究概要】

背景および目的
肝機能マーカー(ALT、AST、γ-GTP)の値が正常範囲よりも高く、肝機能異常と診断される人は、現在、成人の約3割にのぼります(※)。肝機能異常は暴飲暴食や喫煙、過剰なストレス等が原因とされ、自覚症状がないまま重篤な状態に陥ることがあるため、早期の改善が望まれます。しかし、肝機能改善には有効な特効薬や特定保健用食品のように科学的根拠に裏付けられた食品もなく、具体的な策を講じるのが困難な現状にあります。
本研究では、これまでの弊社での研究により肝機能の改善効果が期待されているスルフォラファンについて、より確かな科学的根拠を得るため、ヒトを対象とした試験によりその有効性を検証しました。

※参考:「2012年人間ドックの現況」(日本人間ドック学会)

試験の方法
東海大学医学部付属東京病院に通院する患者のうち、肝機能マーカーの値が高い※3男性52名を被験者としました※4。被験者を2群に分け、片方の群(スルフォラファン群)には、スルフォラファンの前駆物質であるスルフォラファングルコシノレート(SGS)を1粒あたり10mg含むカプセル(スルフォラファンサプリメント)を1日3粒、2ヶ月間摂取してもらい、もう一方の群(プラセボ群)には、SGSを含まないカプセル(プラセボ)を同様に摂取してもらいました。摂取期間の前後に健康診断を受けてもらい、肝機能障害に関わる肝機能マーカー等を測定しました。なお、本試験は二重盲検法※5に基づいて実施しました。

  • AST _ 35 IU/L、ALT _ 40 IU/Lまたはγ-GTP _ 80 IU/Lのいずれかに該当する方
  • 事前に試験計画を十分に説明し、同意を得られた方を対象に実施
  • 各被験者の試験食品の内容を、被験者はもとより試験結果の評価に関わる者(医師、測定・解析担当者)全員が知らないこと。
    プラセボ効果や先入観が試験内容に影響を及ぼすことを防ぎ、客観的に試験結果を評価するための方法

スルフォラファンの摂取が肝機能マーカーに与える効果
スルフォラファン群では、主要な肝機能マーカーであるALT及びγ-GTPの値が統計学的に有意に改善しました(図1)。一方、プラセボ群では、肝機能マーカーの値に統計学的に有意な変化は認められませんでした。 この結果より、スルフォラファンを継続的に摂取することが肝機能の改善に有効であると示されました。

スルフォラファングルコシノレート(SGS)のサプリメントの摂取が
肝機能マーカーの値に及ぼす影響
  • ウィルコクソンの符号順位検定により有意確率を算出(有意水準は5%)。グラフ中の●は個々の被験者の数値を、横棒と数値は群の平均値を示す。摂取前後で数値が低下した場合は実線で、上昇した場合は破線で結ぶ。
  • 思い込みによる効果(プラセボ効果)ではなく、評価する薬や食品の有効成分の効果を確認するために用いられます。

スルフォラファンが肝機能を改善するメカニズム
肝臓は、私たちの体内に入ってくる無数の化学物質を無害な物質に変換(解毒)することで、健康な状態を保っています。暴飲暴食や喫煙などの生活習慣をもった人や環境汚染が深刻な地域で生活する人の肝臓は、日々多くの化学物質に曝され、肝臓での化学物質の解毒が滞ってしまいます。その化学物質が酸化ストレスの増加や炎症を惹き起こすことで肝臓の細胞を損傷し、それが肝機能異常の原因となります。 スルフォラファンは、肝臓が自ら持つ防御機構(解毒、抗酸化、抗炎症)を高めることで、肝機能を改善すると考えられます。

スルフォラファングルコシノレート(SGS)の肝機能改善メカニズム

<まとめ>

  • γ-GTPなどの肝機能マーカーの値が正常範囲より高い人がスルフォラファングルコシノレート(SGS)を含むサプリメントを継続的に摂取(SGSとして30mgを2ヶ月間摂取)することで、肝機能マーカーの値が改善するという結果が得られました。
  • 解毒作用、抗酸化作用、抗炎症作用などの肝臓が持つ防御機構を高めてくれるスルフォラファングルコシノレート(SGS)を継続的に摂取することは、肝機能の改善に有効であると期待されます。

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