乾燥肌と肌の水分量の関係は? 皮膚科医に聞く、インナーケア

冷たい外気に晒される冬や季節の変わり目や花粉が飛び始める春先など肌の乾燥にお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか?

また、年を重ねるごとに肌の水分量や皮脂の量、コラーゲンなど肌を作る成分が減り、乾燥肌に。

そこで、皮膚科医の神島輪(かみしま・りん)医師に、乾燥肌対策について伺いました。今回はインナーケア対策について聞きました。

肌の水分量が減るとどうなる?

――冬や春先などとにかく肌が乾燥して悩んでいます。そもそも乾燥肌とはどんな状態のことを言うのでしょうか?

神島輪医師(以下、神島):乾燥肌とは肌の水分と皮脂が不足している状態です。水分量や皮脂量は年齢を重ねるごとに減っていきます。

――肌の水分量が足りていないとどんなことが起こるのでしょうか?

神島:まずは肌のくすみやカサつき、つっぱり感が起こります。悪化すると粉をふいた理、痒みが出るようになります。水分が保たれることで肌のキメも整ったキレイな肌に見えます。肌の強さやバリア機能(乾燥や外部刺激から肌を守る働き)も水分量が保たれているからこそです。

油断大敵!夏はエアコンの風に注意

――肌の水分量を保つことは大事なのですね。加齢のほかに、肌の水分量が足りなくなる原因は?

神島:大気中の水分量が減ってくると肌の水分も蒸発しやすくなるので、空気の乾燥がダイレクトに影響してきます。

冬が乾燥しやすいというのは想像がつくと思いますが、湿気が多い夏だからと言って油断は禁物です。冷房の風にずっと当たるのも肌の乾燥の原因になります。

ほかに肌が乾燥する原因としては、直接肌を擦ったり、傷つけたりしてしまうと本来保たれている水分が蒸発しやすくなります。詳しくはスキンケアの回でお話しいたします。乾燥などお肌の乱れは睡眠不足やストレス、栄養不足も関係してくるので気をつけたいですね。

乾燥肌を予防するための栄養素は?

――乾燥肌の内側からのケアとしてはどんなケアがおすすめですか?

神島:まずは適度な水分補給ですね。

食べ物やサプリからとるインナーケアとしては、ビタミンをしっかりとることも大事です。他に皮膚に良いとされているのは鉄や亜鉛、タンパク質です。

ビタミンは体内で合成されないか、されても必要量を満たさないので食品から摂取する必要のある栄養素です。

ビタミンは13種類が知られていますが、にんじんやほうれん草、レバーなどに多く含まれるプロビタミンAやビタミンAは肌の潤いを保つために必要です。また、植物油やナッツなどに含まれるビタミンEは皮膚のバリア効果を高める効果があります。ほかにも納豆や豚ヒレ肉に多く含まれるB₂、卵や大豆製品、マグロなどに多く含まれるB₆も乾燥肌の予防に役立ちます。参1)

また、個人的にクリニックで診察していて感じるのが鉄をとっていない人が多いように感じます。鉄はレバーや赤身の肉や魚、貝、卵、大豆、葉野菜などに多く含まれています。

そして中高年世代はタンパク質が足りていないことも多いので意識的にとるようにしたいですね。タンパク質はマグロの赤身や豚ヒレ肉、鶏ささみなどに多く含まれています。

――自分にどの栄養素が足りていないか分からないのですが、調べる方法はありますか?

神島:例えば自由診療にはなりますが、血液検査で調べることも可能です。

――肌の水分量や乾燥肌に関する論文で、次の二つの論文があります。
「乾燥肌のある健康な女性において、スルフォラファン・グルコシノレート(SGS)を含むケール青汁を12週間摂取した方では肌の水分量が増加したが、SGSを含まない青汁を摂取した方では変化しなかった。また、SGSを摂取した方は摂取しない方と比べて肌に関する自覚症状スコアが改善された」参2)
「乾燥肌のある健康な男女がSGSを含むケール青汁を摂取すると、SGSを含まない青汁を摂取した方と比較して、摂取6週間後の肌の水分量が有意に増加した。さらに、40代以上の方に限定すると、SGSを含むケール青汁を摂取した方ではSGSを含まない青汁を摂取した方と比較して摂取6週間および12週間後の肌の水分量が有意に増加した。」参3)

スルフォラファングルコシノレート(SGS)のような栄養成分をサプリで補うのも良いのでしょうか?

神島:先ほどお伝えした通り、ビタミンと言えば野菜ですが必要量をとろうとすると大変です。スルフォラファングルコシノレートのようなサプリで補ってあげるのも良いかと思います。

■ 参考文献

参1)『新栄養の教科書』(新星出版社)

参2) 大野智弘, 須., 吉村公一, 毛利麻里, 中田秀二. 乾燥肌の健常な成人女性におけるグルコラファニン含有ケール青汁の肌状態に対する有用性 - ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験 -<Effects of Kale Containing Glucoraphanin on Skin Conditions in Healthy Female Subjects with Skin Dryness>. 薬理と治療 46, 243-255.

参3) Tomohiro Ohno, Y.S., Koichi Yoshimura, Mari Mouri, Shuji Nakata. Continuous Ingestion of Kale Containing Glucoraphanin Improves Skin Condition in Healthy Japanese Adults with Skin Dryness - A Randomized, Double-blind, Placebo-controlled, Parallel-group Study -. 薬理と治療 2018, 46, 1883-1893.

<プロフィール>

神島輪(かみしま・りん)
東京女子医科大学卒業後、同大学の皮膚科に入局。現在は一般診療だけでなく美容診療にも携わり、水道橋ひふ科クリニックの院長として勤務。

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