γ-GTP値の上昇と更年期の関係は?

肝臓に関心を持とう

中高年になるにつれて健康診断の結果は気になるもの。

「肝臓」と聞くとアルコールが思い浮かぶ人が多いでしょうが、肝臓は人間の体内で最大の臓器で、アルコールの代謝の他にも、糖質や脂質、タンパク質などの栄養分を代謝して利用しやすい形に変えたり、毒物を分解したり、体内の物質のバランスを維持したりなど、生命を支えるために重要な働きを担っています。肝臓は「沈黙の臓器」とも言われ、異常に気付くのが難しい臓器でもあります。定期的に検診を受けることが大事です。

γ-GTP値の上昇と更年期の関係は?

肝機能を表す数値としては、AST、ALT、γ-GTPがあります。ASTとALTは肝細胞で作られる酵素、γ-GTPは胆管で作られる酵素で、肝臓でアミノ酸の代謝に関わる働きをしています。

ASTとALTは、健康な状態でも血液中にある酵素ですが、肝臓に障害が起こって肝細胞が壊れると、血液中に流れる量が増えるため、値が上昇します。

γ-GTPはガンマグルタミルトランスペプチダーゼ(γ-Glutamyl TransPeptidase)の略で解毒作用を行う代謝酵素です。肝細胞が壊れると血液中に流れ出るので肝臓のダメージ度の指標となります。一般的なγ-GTP検査値の基準値としては、男性が50IU/l以下、女性が30IU/l以下とされます。参1)肝臓の数値というと、アルコールの飲み過ぎというイメージがありますが、普段アルコールをそれほど摂取しない人でも数値の異常が出る場合があります。

γ-GTPの値が上がる原因の一つとして、脂肪肝があります。最近は女性の脂肪肝が増えています。閉経を挟んだ約10年くらいの期間を更年期と呼びますが、更年期に入ると脂肪をためる働きのある女性ホルモンが弱まるため、肝臓に脂肪がたまりやすくなるのではと考えられています。

脂肪肝は肝臓に脂肪が蓄積された状態を指します。放置すると肝炎や肝硬変を引き起こすことになるので注意が必要です。脂肪肝は肥満の人の病気というイメージがありますが、見た目が痩せていたり、小太りの人でも脂肪肝になっている可能性が高いです。

アルコールを飲む人はもちろんですが、飲まない人も定期検診などで肝臓の数値をチェックすることが必要です。

スルフォラファンで肝機能の値が改善

また、肝機能異常の男性52人に対して、ブロッコリーなどに含まれる「スルフォラファン・グルコシノレート」を毎日とる人ととらない人のグループに分け、2ヶ月後に検査したところ、摂取したグループのγ-GTP値やALT値が改善したという論文参2)もあります。スルフォラファン・グルコシノレートが、体内の解毒酵素を活性化して、肝臓の解毒力を高める働きが確認されているので、そうした栄養素を含む食品などを積極的にとるなどするのもおすすめです。

■ 参考サイト・文献

参1)厚生労働省e-ヘルスネット「γ-GTP」

参2) Kikuchi, M.; Ushida, Y.; Shiozawa, H.; Umeda, R.; Tsuruya, K.; Aoki, Y.; Suganuma, H.; Nishizaki, Y. Sulforaphane-rich broccoli sprout extract improves hepatic abnormalities in male subjects. World J Gastroenterol 2015, 21, 12457-12467, doi:10.3748/wjg.v21.i43.12457.

・『肝臓を食べ物、食べ方、生活法で強くする本』(主婦の友社/監修:野村喜重郎)

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