緑黄色野菜としてすでに知られた健康野菜ではありますが、実はさまざまな健康効果を発揮することが明らかになっています。具体的には、目や皮膚の健康維持につながるβ-カロテン、免疫力強化や肌の調子を整えるのに役立つとされるビタミンCや、整腸作用やダイエットに役立つ食物繊維などがバランスよく含まれています。
そしてもう一つ、ブロッコリーに多く含まれる健康成分として注目されているのが、「スルフォラファン」という物質です。そして今回ご紹介するのは、このスルフォラファンによって美肌効果に期待ができるということ。一体どういうことなのか、詳しい話に入っていくことにしましょう。
ブロッコリーやその発芽野菜であるブロッコリースプラウトには「スルフォラファン」という成分が含まれています。1992年に米国を代表する医学校であるジョンズ・ホプキンス医科大学のポール・タラレー博士らにより、健康効果が期待される成分としてブロッコリーから発見されました。このスルフォラファンは、食品中ではスルフォラファン・グルコシノレートとして存在し、体内で分解されることでスルフォラファンに変わることがわかっています。
2018年に発表された論文(※1)によれば、スルフォラファン・グルコシノレートを含むケール青汁を6週間摂取することで、肌の乾燥を自覚する方の肌状態が改善されたということ。そしてこの効果は40代以上において顕著であったというのです。
スルフォラファン・グルコシノレートを含む野菜としてはブロッコリーのほうが食べやすさや手軽さを感じる人は少なくないでしょうから、ここからはブロッコリーをいかに継続的に飽きずに食べられるかということを考えていくことにしましょう。
おすすめはズバリ、ブロッコリー1株を使った常備菜。週末などにまとめて作っておけば、毎日食べたいときに食卓に出すことができます。
ブロッコリーは塩でシンプルにゆでるのが基本だと思われていますが、実はもっと自由に料理を楽しむことができます。ここでは、フライパン一つで作ることができ、すぐに食べるのはもちろんのこと、冷蔵庫のストックおかずとしても活躍してくれる「ブロッコリーのターメリック炒め」をご紹介したいと思います。
ターメリックはインドカレーでおなじみのスパイスで、ウコンとも呼ばれています。主成分のクルクミンという成分は、抗酸化作用のあるポリフェノールの一種。強い抗酸化作用があり、活性酸素やフリーラジカルによる酸化を防ぐ効果があります。また、ターメリックは何千年も昔から中国伝統医学やアーユルヴェーダ(インドの伝統医学)においても炎症軽減や消化不良の改善に用いられるほど歴史のあるスパイス。健康・美容を考えたブロッコリー常備菜として覚えておくと便利です。
ブロッコリー | 1株 |
---|---|
オリーブオイル | 大さじ2 |
塩 | 小さじ1/2 |
カレー粉 | 大さじ1 |
ターメリック | 小さじ2 |
水 | 100ml |
【作り方】
(1)ブロッコリーは茎部分を食べやすいように細切りに、花芽部分は細かく切り分ける。
(2)フライパンにオリーブオイルをひき、ターメリックとカレー粉を入れて弱火で加熱する。香りが出てきたらブロッコリーを入れて、塩と水を加えてフタをして1分蒸し煮にする。フタを開けて水分がなくなるまで炒めれば完成。
【アレンジ例】
・オリーブオイルをひいたときにニンニクを加える
・塩の代わりに醤油(しょうゆ)やめんつゆで味付けをする
・ツナを一緒に炒める
・カシューナッツなどのナッツを加えて炒める
・仕上げに粉チーズをふる
※経表皮水分蒸散量
皮膚の乾燥状態を調べるために測定されるものの一つで、汗によらず角層を通って蒸散するわずかな水分量のことです。この値が低いほど角層のバリア機能が高いことを意味する
■参考論文
※1
Tomohiro Ohno et al.
Continuous Ingestion of Kale Containing Glucoraphanin Improves Skin Condition in Healthy Japanese Adults
with Skin Dryness―A Randomized, Double—blind, Placebo—controlled, Parallel—group Study―
Jpn Pharmacol Ther(薬理と治療) Volume 46, Issue 11, 1883 - 1893 (2018)
https://www.pieronline.jp/content/article/0386-3603/46110/1883
■参考文献
『一生役立つ きちんとわかる栄養学』(西東社/監修:飯田薫子 寺本あい)
『新 栄養の教科書 』(新星出版社/著:大久保 研之、深津 章子)
<著者>
スギアカツキ
食文化研究家。長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを幅広く学ぶ。在院中に方針転換、研究の世界から飛び出し、独自で長寿食・健康食の研究を始める。食に関する企業へのコンサルティングの他、TV、ラジオ、雑誌、ウェブなどで活躍中。