ところで健康料理を考えたときに、真っ先に思いつくのが野菜料理。そして野菜の中でも特に優秀と言われる「ブロッコリー」をたっぷり使った料理のレパートリーが増えたとしたら、どうでしょうか?ブロッコリーは栄養バランスが自慢の、国内外でも大注目の緑黄色野菜。重量感もあり、子どもからお年寄りまで広く食べやすいことや、継続的にある程度の量を食べられる強みもあります。そしていつもの料理をヘルシーにしながら、食べ応えを出してくれるような効果もあり、ダイエット料理にも活躍してくれるヘルシー食材です。
ここでは誰でも簡単に作ることができるおいしいブロッコリー料理をご紹介したいと思います。前回は海外で人気になっているそばサラダのレシピをご案内しましたが、今回は温かい料理として、“ベルギー風の濃厚シチュー”はいかがでしょうか?
まずレシピの紹介に入る前に、ブロッコリーがどれほど優秀なのか、また調理をする際の心得について軽く整理をしてみたいと思います。
ブロッコリーは、高い栄養価とその効果がさまざまな研究で証明されています。特にブロッコリーやブロッコリースプラウトに豊富に含まれている「スルフォラファン・グルコシノレート」という成分には抗酸化作用や解毒作用があることが報告されています。
ほかにも、目や皮膚などの粘膜の健康に関係するβ-カロテン、強い抗酸化力を持つビタミンCやE、整腸作用が期待できる食物繊維が豊富であることから、毎日継続的に食べ続けることで、さまざまな健康効果が期待できるでしょう。
ここからは、ブロッコリーを調理する際の注意点について。まず、つぼみ以外は捨ててしまいがちなブロッコリーですが、実は太い茎にも食物繊維などが豊富に含まれていて、加熱することで甘味が増しておいしくなりますから、無駄なく活用するようにしましょう。そしてもう一つ、加熱時間や方法については、少量の水で短時間加熱がポイント。ビタミンCの含有量はピーマンやレモンを上回りますが、ブロッコリーのビタミンCは水に溶けやすいため、フライパンでの蒸し煮かキッチンペーパーを活用した電子レンジ加熱がオススメです。
心も体も温まる料理として愛されているのがシチュー。今回は私がベルギーを訪れた時にあまりのおいしさに感動した煮込み料理に「ワーテルゾーイ」があります。これはベルギー北西部にあるゲントの名物料理。ワーテルが「水」、ゾーイが「煮込む」という意味で、煮込み料理という意味です。鶏肉を使ったものが主流で、濃厚な味わいが特徴です。
ここでは誰でも作りやすいように、日本で一般的に売られているクリームシチューのルウを使い、鶏肉とブロッコリーを主役にしたワーテルゾーイに仕上げました。
鶏もも肉 | 2枚 |
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マッシュルーム | 1パック(7~10個) |
玉ねぎ | 1個 |
ニンニク | 1片 |
ブロッコリー | 1株 |
オリーブオイル | 大さじ2 |
クリームシチュールウ | 1/2箱(5人分程度) |
牛乳 | ルウの規定量に従う |
卵黄 | 2個 |
塩 | 適宜 |
コショウ | 適宜 |
【作り方】
(1) ブロッコリーは小さめの小口切りにして固めに蒸しゆでする(ゆで時間は2分)。玉ねぎ、マッシュルーム、ニンニクは薄切りにする。鶏肉は一口大に切って塩とコショウをふっておく。
(2)
深めのフライパンか鍋にオリーブオイルとニンニクを入れて火にかける。香りが出てきたら玉ねぎを加えてしんなりするまで炒める。その後、鶏肉とマッシュルームを加えて炒め合わせ、シチュールウの表示通りに水を加えフタをして弱火で20~30分煮込む。
(3) いったん火を止めて、ルウを加えて溶かしたら牛乳を加えて5分程度煮込む。仕上げにブロッコリーと溶いた卵黄を加えて全体を混ぜ、1~2分さらに煮込んだら完成。
(4) お好みの皿に盛り付ける。
【アレンジ】
・ジャガイモ、ほうれん草、キノコ類を加える
・鶏肉の代わりにサーモンやタラなどの魚の切り身を加える
・ブロッコリースプラウトを添えても良い
・パスタソースとしてパスタにかけても良い
ブロッコリーを食べ続けることで、さまざまな健康効果が期待できそうです。そのためには、シンプルな塩ゆではもちろんのこと、さまざまなアレンジ料理を知っておくことは有意義でしょう。これまでにもいくつかブロッコリー料理を紹介してきましたが、自分にとって取り入れやすい、心から気に入る料理を探していくことが、継続摂取のカギとなります。ぜひいろいろな料理にチャレンジしながら、自分好みのブロッコリー料理を堪能してくださいね!
<著者>
スギアカツキ
食文化研究家。長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを幅広く学ぶ。在院中に方針転換、研究の世界から飛び出し、独自で長寿食・健康食の研究を始める。食に関する企業へのコンサルティングの他、TV、ラジオ、雑誌、ウェブなどで活躍中。