ブロッコリーが指定野菜に選ばれた理由は、その人気にあり。多くの野菜が人口減少などを背景に出荷量が減少、横ばいとなっている中、ブロッコリーはこの30年で消費が大きく増え、出荷数は2倍にまで増えている稀有な存在なのです。確かに、子どもからお年寄りまで愛され、カレーやシチュー、パスタ料理やスープなどどんな料理にも使いやすい万能さが魅力になっています。
そこで今回は、ブロッコリーの選び方や、栄養を逃さずにおいしく食べるためのコツ、調理ポイントについてご紹介していきたいと思います。
はじめに、おいしいブロッコリーの選び方からはじめましょう。ブロッコリーはキャベツやカリフラワーと同じアブラナ科の野菜。地中海沿岸原産の野生キャベツを改良したもので、花蕾(からい)と呼ばれるつぼみの部分と茎を食べています。
選ぶポイントは、緑色が濃く、つぼみがこんもり密集していて固く引き締まっていること。茎はつやつやしていて、傷や変色がなくみずみずしいものが良いとされています。茎の切り口に「す」(成長しすぎなどの原因で、内部が割れてできてしまった亀裂)が入っていないこともチェックするようにしましょう。
ブロッコリーにはβ-カロテンやビタミンCが豊富で、さらにはさまざまな効果があると期待されている「スルフォラファン・グルコシノレート」が豊富に含まれています。これらの栄養素は熱に強いものもありますが、ビタミンCやポリフェノールなどの水溶性成分の流出を防ぐためにも、水は少なめにして短時間加熱がおすすめ。
基本としてフライパンを使って蒸しゆでにする調理法を覚えておきましょう。フライパンに切り分けたブロッコリーと塩ひとつまみを入れて、半分漬かるくらいの水を注ぎ、強火で2~3分加熱するだけ。切り分けるサイズや仕上がりの食感によって2分なのか3分なのかを決めましょう。シチューなどの仕上げに加えて煮込む場合は、かために仕上げるのが良いでしょう。茎にも栄養がたっぷり含まれていますから、皮をむいて薄切りにしてからつぼみと一緒にゆでるようにしましょう。炒め物にしてもホクホクした食感が味わえます。
かためにゆでたブロッコリーは、空気をなるべく抜いて密閉袋に入れれば冷蔵庫で2~3日、冷凍庫なら1カ月ほど保存が可能です。
温野菜を電子レンジで作りたいという人も多いと思います。レンチンは邪道と思い込んでいるとしたら、それは大きな誤解。適切に加熱をすることで、大量の水でゆでる方法に比べて栄養素の流出を少なく抑えることができるメリットがあります。
そこで、レンジ加熱でブロッコリーをおいしくし調理する方法をご紹介しましょう。コツは一つ、ラップの代わりに「キッチンペーパー」を使うことです。ラップ加熱の場合、野菜から出た水分の行き場がなくなるために、ぐにゃぐにゃべちゃべちゃとした仕上がりになってしまいますが、キッチンペーパーならこの余計な水分をしっかり吸収してくれるのです。またペーパーと食材に含まれる水分のWスチーム効果で均一加熱されることにより、蒸し器で作ったときのようなふっくらとした仕上がりになるのです。
まずは大きめの耐熱皿に、ぬらしたクッキングペーパーを1~2枚敷きましょう。ブロッコリーを広げ、上にぬらしたクッキングペーパーを乗せて全体をくるみ、電子レンジ600Wで3~4分加熱します。ブロッコリー以外の野菜を組み合わせたい場合は、ブロッコリーよりもかたい野菜(にんじんやかぼちゃなど)はブロッコリーよりも外側に並べるようにしてください。
このように忙しいときや時短でおいしくブロッコリーを調理したい場合には、賢いレンチン調理を覚えておくと便利でしょう。
最近は自宅で料理をすることなく、ブロッコリーを食べることができるようになっています。つまり、外食やコンビニでもブロッコリーを気軽に取り入れることができるということ。牛丼チェーンではサラダや健康メニューにブロッコリーが使われていますし、コンビニのサラダにもブロッコリーを使った商品が登場しています。さらに特筆すべきは、コンビニの冷凍コーナーにそのまま食べられる一口サイズの冷凍ブロッコリーが販売されていること。価格は100円台とリーズナブルで、自然解凍対応なのでお弁当に詰めておくだけでおいしく食べることができます。
皆さんのご都合やお好みに合わせて、栄養豊富なブロッコリーを無理なくおいしく食べてみてくださいね!
<著者>
スギアカツキ
食文化研究家。長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを幅広く学ぶ。在院中に方針転換、研究の世界から飛び出し、独自で長寿食・健康食の研究を始める。食に関する企業へのコンサルティングのほか、TV、ラジオ、雑誌、ウェブなどで活躍中。