ブロッコリーには肝機能改善の働きがあった! 塩ゆで以外のおいしいブロッコリーレシピ

ブロッコリーに含まれる栄養素は?

皆さんは健康を維持するために日頃からよく食べる野菜はありますか?
2015年4月から食品の機能性をわかりやすく表示した機能性表示食品制度がはじまったことで、野菜を健康面でも選びやすい時代になっています。

ブロッコリーは、緑黄色野菜の一つで、さまざまな健康効果を発揮することで知られています。

【ブロッコリーに含まれる栄養素と働き】
①β-カロテン
体内でビタミンAとして働き、目や皮膚の粘膜を健康に保ち抵抗力を強める。

②ビタミンC、E
強い抗酸化力を持つ。風邪やインフルエンザの予防にも寄与する。

③食物繊維
便秘の予防をはじめとする整腸効果、血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下などさまざまな働きがある。

つまりブロッコリーには、β-カロテンやビタミンC、E、葉酸、ビタミンB2などのビタミン類や食物繊維がバランスよく含まれ、子どもからお年寄りまで広く愛されている健康野菜なのです。そしてもう一つ、ブロッコリーに多く含まれる健康成分として注目されているのが、「スルフォラファン・グルコシノレート」という物質です。

そこで今回は、まだまだ広く知られていない「スルフォラファン・グルコシノレート」に関する研究結果をご紹介しながら、簡単に作れてしまうブロッコリーレシピを1品ご紹介したいと思います。

ブロッコリーには肝機能改善の成分「スルフォラファン・グルコシノレート」が含まれている

ブロッコリーやその発芽野菜であるブロッコリースプラウトには「スルフォラファン・グルコシノレート」という成分が含まれています。スルフォラファン・グルコシノレートは1992年に米国を代表する医学校であるジョンズ・ホプキンス医科大学のポール・タラレー博士らにより、健康効果が期待される成分としてブロッコリーから発見されました。スルフォラファンは、食品中ではスルフォラファン・グルコシノレート(SGS)として存在し、体内で変換されることでスルフォラファンに変わることがわかっています。

実はこのスルフォラファン・グルコシノレートには、肝機能改善に有益と考えられる抗酸化作用や抗炎症作用があります(※1)。しかし私たちの身近なシーンで考えてみた場合、人間ドックなどで測定する血液検査項目である、ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)、γ-GTP(ガンマグルタミルトランスフェラーゼ)などの肝機能に関連する生物学的マーカーの値に対する効果を病気でない人で検証した研究は報告されていませんでした。

2018年、2022年にそれぞれ発表された論文(※2)によると、肝機能マーカー(血中ALT値)がやや高め(※3)の健康な中高年の方において、スルフォラファングルコシノレートを含むサプリメント(1日当たり24 mg, 60 mgのスルフォラファングルコシノレートを各試験においてそれぞれ摂取)を24週間毎日摂取したヒトは、スルフォラファングルコシノレートを含まないサプリメントを摂取したヒトに比べて、血中ALT値の改善が認められました。血中ALT値は肝臓の機能を調べるための代表的な検査項目で、値が高いほど肝臓がダメージを受けている可能性が高いと考えられます。

つまりこの論文結果を日常の食生活に当てはめてみると、ブロッコリーやブロッコリースプラウトを継続的に食べることで十分な量のスルフォラファン・グルコシノレートを摂取すると、ALT値がやや高めの方の肝臓のダメージを減らすことが期待されるということになります。

しかしながらブロッコリーを飽きずに継続的に食べるためには、いつも塩ゆでばかりだと飽きてしまいますよね。そこで、ブロッコリー料理のレパートリーを増やすきっかけにしていただくために、誰でも簡単に作ることができる、いつもとはちょっぴり違ったおいしいブロッコリー料理を1品ご紹介したいと思います。

ブロッコリーのイタリア風和え物

【材料(2~3人分)】
ブロッコリー 1/2株
ゆでタコ 150g
オリーブ(黒、種抜き) 10個
トマト(中サイズ) 1~2個
アンチョビペースト 2センチ分
オリーブオイル 大さじ2
ハチミツ 大さじ1/2
塩、コショウ 少々

【作り方】
(1) ブロッコリーを小さく切り分け、沸かした湯に塩(分量外)を加えて2分ゆでる。
(2) トマトは1口サイズに切り、オリーブはヨコ方向に半切り、タコはぶつ切りにする。
(3) 中サイズのボウルに(1)と(2)を入れて、アンチョビペースト、オリーブオイル、ハチミツをよく混ぜてから加えてよく和える。塩とコショウで味を調える。

【アレンジ例】
・ブロッコリースプラウトを加える
・キュウリやセロリを加える
・タコの代わりにエビやカニカマを使う
・すりおろしにんにくを隠し味に加える
・(もっと簡単にするために)市販のドレッシングで味付けをする

■参考論文:

※1 Yan, L. and Y. Yan
"Therapeutic potential of sulforaphane in liver diseases: a review."
Front Pharmacol 14: 1256029. -2023
https://www.frontiersin.org/journals/pharmacology/articles/10.3389/fphar.2023.1256029/full

※2 菊池真大, 青木雄大, 相澤宏一, 菅沼大行, 西崎泰弘
"健康成人の肝機能に対するブロッコリスプラウト抽出物含有サプリメントの有効性検証 - 多施設無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験 -."
薬理と治療 46(1): 81-95. -2018

Shohei S., Shingo T., Kazutaka Y., Sunao S., Takuro I., Tsuyoshi T., Hiroyuki S.
Effects of broccoli sprout supplements enriched in glucoraphanin on liver functions in healthy middle-aged adults with high-normal serum hepatic biomarkers: A randomized controlled trial
Frontiers in Nutrition Volume 9 - 2022
https://doi.org/10.3389/fnut.2022.1077271

※3 日本人間ドック・予防医療学会「検査票の見方」(https://www.ningen-dock.jp/public_method/)において、血中ALT値が要注意(31~50 U/L)の方(2024年5月21日閲覧)

■ 参考文献

『きちんとわかる栄養学』(西東社)

『からだにおいしい野菜の便利帳』(高橋書店)

『あたらしい栄養学』(高橋書店)

<著者>

スギアカツキ
食文化研究家。長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを幅広く学ぶ。在院中に方針転換、研究の世界から飛び出し、独自で長寿食・健康食の研究を始める。食に関する企業へのコンサルティングのほか、TV、ラジオ、雑誌、ウェブなどで活躍中。

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