指定野菜には現在キャベツやきゅうりなど14品目が選ばれており、新たな野菜が加わるのは1974年にジャガイモが追加されて以来約50年ぶりなんです!
指定野菜は現在、キャベツ、きゅうり、だいこん、トマト、なす、にんじん、ねぎ、はくさい、ピーマン、レタス、たまねぎ、ジャガイモ、ほうれんそうの14品目です。どれも頻繁に食卓に並ぶ、おなじみの野菜ですよね。消費量や多い・もしくは多くなることが見込まれる野菜を指定野菜とすることで、野菜の価格を安定させ、買いやすくすることが目的です。
農林水産省によると、2012年から2022年までの過去10年間の野菜出荷量は、人口減少や輸入量の増加により3.7%減少していますが、ブロッコリーは28.2%も増加しています。野菜全体の中でも目立って増えているんです。確かにスーパーに行くと、ブロッコリーは目立つ場所に積まれていることが多いですよね。これから「指定野菜」となることで、より手に入りやすくなるかもしれません。
ブロッコリーは過去10年で約3割も出荷が増えていますが、その豊富な栄養素や調理の手軽さに、その理由がありそうです。
ブロッコリーはつぼみを食べる野菜で、ビタミンCが豊富なことが特徴。大人(30〜49歳)のビタミンC必要量は100mgですが、ブロッコリーの可食部100g中に120mg含まれており、1日の必要量がまかなえます。ビタミンCが豊富なイメージのいちごは100g中69mg、レモン果汁は50mgで、実はブロッコリーは野菜・果物の中でもトップクラスの含有量なんです。
ビタミンCはシミ・ソバカス予防に効果が期待できることが有名ですが、コラーゲンの合成のサポート、ホルモンの合成、鉄の吸収促進などにも役立ちます。またβ-カロテンも豊富に含まれ、ビタミンCとβ-カロテンの抗酸化作用によって細胞が丈夫に。免疫力が高まって風邪予防やアンチエイジングも。そのほかビタミンB2やカリウム、食物繊維も豊富で、まさに“健康を守ってくれる野菜”といっていい存在です。肉や魚のタンパク質などと一緒に摂ることで貧血予防、髪の傷みや抜け毛予防、肌のカサつき予防、肌荒れ予防など、健康と美容に様々な効能が期待できるんです。メイン食材にゆでたり、炒めたブロッコリーを添えるだけで栄養価を高められ、とても手軽ですよね。
また、ブロッコリーの赤ちゃんである「ブロッコリースプラウト」も健康野菜として近年とても注目を集めています。スプラウトとは、野菜の新芽のこと。これから生長していく芽は生命力が強く、「スルフォラファン」は大きくなったブロッコリーよりも豊富でなんと10倍も含まれています。もちろんビタミンCやβ-カロテンも含まれ、サラダに添えて取り入れたいですね。
そんな野菜の代表格ともいえるブロッコリー。茹でてマヨネーズをつけるだけでも、子どもも大人も大好きな副菜のできあがりです。その豊富な栄養素を余すことなく摂取するためには、まず新鮮なものを選ぶことが大事。つぼみの中央がこんもりと固く締まっているものを選びましょう。また茎がみずみずしいものは新鮮な証拠です。一年中スーパーで購入できますが、実は11月から3月の寒い季節が旬。購入したらポリ袋のまま冷蔵、またはさっと茹ででから冷蔵か冷凍で保存します。ビタミンCは酸化しやすく、保存や調理で栄養素が失われやすいため、買ってきたら新鮮なうちにすぐ食べることが鉄則。また茹ですぎ、炒めすぎに注意しましょう。無水調理や電子レンジを活用してビタミンの流出を防ぐのも手です。ブロッコリースプラウトは生で食べられるので、さっと洗ってサラダなどに添えて。
野菜の中では比較的手軽な調理でおいしく食べられるブロッコリーやブロッコリースプラウトですが、新鮮なものを毎日手に入れて調理するのは大変かもしれません。そんなときはサプリという手も活用して。ブロッコリーやブロッコリースプラウトに含まれるスルフォラファン※は、中高年世代の方の健常域でやや高めのALT(肝機能マーカーのひとつ)値の改善に役立つ機能も確認されています。 ※スルフォラファンは食品中ではスルフォラファン・グルコシノレート(SGS)として存在し、体内で変換されることでスルフォラファンに変わります。
■ 参考文献
『からだによく効く食材&食べあわせ手帖』監修 三浦理代、民間療法コラム監修 永山久夫
『からだにおいしいキッチン栄養学』監修 宗像伸子/高橋書店
■ 参考サイト:
・農林水産省
<プロフィール>
有馬美穂(ありま・みほ)
ライター。2004年早稲田大学卒業。『VERY』をはじめ、さまざまな雑誌媒体等で主にライフスタイル、女性の健康、教育、ジェンダー、ファッションについての取材執筆を行う。