そこで、皮膚科医の神島輪(かみしま・りん)医師に、紫外線対策について伺いました。
――暖かくなってきて外に出たい気分が高まってきました。美容的にはシミやソバカスが気になるのですが、紫外線対策について伺えればと思います。
神島輪医師(以下、神島):肌に届く紫外線はUV-AとUV-Bの2種類があります。いわゆる日焼けの原因となるUV-Bに比べて、UV-Aはパワーが弱いのですが、波長が長いため雲や窓ガラスを通過し、冬の間も降り注ぎます。肌の奥の真皮まで届くのもUV-Aです。日焼け止めをつけるのは春先になってからという方もいらっしゃると思うのですが、上記の理由から常に降り注いでいるため、日焼け止めは1年中つけましょう。
――そもそもシミはどんなメカニズムでできるのでしょうか?
神島:紫外線を浴びると肌の奥でシミの元となるメラニンが作られます。メラニンは、肌や髪の毛、目の色を構成する黒色の色素です。メラニンが過剰に作られることで黒くなります。メラニンを含んだ細胞は通常は肌のターンオーバーで剥がれ落ちるのですが、長年の紫外線ダメージでメラニンが過剰に作られ、ターンオーバーのサイクルも遅くなってしまうとメラニンが剥がれないまま蓄積されてシミになってしまいます。
紫外線は皮膚の細胞内にたくさんの活性酸素を発生させます。活性酸素は微量であれば体に有用な働きをするのですが、大量に発生することで肌の弾力やハリを保っているコラーゲンやエラスチンを破壊してシワやたるみの原因にもなります。いわゆる「光老化」と言われるもので、肌の老化の8割は光老化と言われています。
ちなみにソバカスもシミの一種ですが、遺伝的体質によって出るものが多く、小さい頃から出る場合もあります。
神島:激しすぎる運動やタバコ、ストレスや加工食品の過剰な摂取も体がサビる原因となります。
――年を重ねてシミが目立つようになってから紫外線ケアをしてももう遅いのでしょうか?
神島:そんなことはないです。紫外線ケアやインナーケアをすることでメラニンの生成を防ぎ、肌のターンオーバーを整えることにも繋がります。
――紫外線対策として、日焼け止めはもちろん、サングラスやアームカバーを着けたり、日傘を差したりするのも大事だと思うのですが、内側からケアする方法はありますか?
神島:ビタミンAやビタミンCなどのビタミン類、そしてカロテノイド、ポリフェノール、イオウ化合物など「ファイトケミカル」と呼ばれる抗酸化作用がある成分や栄養素をとることが有効です。
抗酸化作用がある成分は、活性酸素を取り除き、酸化の働きを抑えます。モロヘイヤやニンジンなどに含まれるβカロテンは体内でビタミンAに変化します。ビタミンCはイチゴやキウイフルーツに多く含まれます。カロテノイドは、緑黄色野菜などに含まれるβカロテンやリコピン、エビやカニなどの甲殻類やサケやマスなど魚類がもつアスタキサンチンなどです。
ポリフェノールにはブルーベリーやブドウなどに含まれるアントシアニン、大豆などに含まれるイソフラボン、緑茶などに含まれるカテキン、ゴマなどに含まれるセサミンなどがあります。
イオウ化合物には、ブロッコリーの新芽に含まれるスルフォラファンや玉ねぎやニラに含まれるアリシンなどがあります。食事で補うのが難しい場合はサプリなどを活用するのも良いと思います。
■ 参考文献・サイト
『新栄養の教科書』(新星出版社)
『一生役立つきちんとわかる栄養学』(西東社)
・厚生労働省eヘルスネット「抗酸化物質」
・日本皮膚科学会HP
<プロフィール>
神島輪(かみしま・りん)
東京女子医科大学卒業後、同大学の皮膚科に入局。現在は一般診療だけでなく美容診療にも携わり、水道橋ひふ科クリニックの院長として勤務。