自然を、おいしく、楽しく。KAGOME

閉じる

ブロッコリースプラウトエキスに花粉症を抑制する効果が期待 〜 カゴメ、東京理科大学との共同研究 〜

2010年4月2日研究

カゴメ株式会社総合研究所(栃木県那須塩原市)は、東京理科大学薬学部薬学科(千葉県野田市)谷中昭典教授との共同研究で、ブロッコリースプラウトから熱水で抽出したエキスに花粉症を抑制する効果があることを、動物を用いた試験で確認しました。
なお、本研究内容は日本薬学会第130年会(3月28〜30日、岡山)において発表致しました。

■共同研究者 東京理科大学 谷中昭典教授のコメント

ブロッコリースプラウトに多く含まれるスルフォラファンは、胃がんの発症と関連があると言われているピロリ菌を減少させるなど、様々な疾病に有効であることが明らかになっています。今回の花粉症モデルマウスを用いた試験で、ブロッコリースプラウトエキスの摂取が花粉症の指標となる好酸球やIgEの増加を抑制することが明らかになりました。これらの結果は、ブロッコリースプラウトエキスの摂取が花粉症の抑制につながることを期待させます。

■研究の背景

花粉症はアレルギー性疾患のひとつとして知られ、スギやヒノキなどの植物の花粉が口や鼻から入ることで、症状として目のかゆみやくしゃみなどが誘発される疾患です。花粉症の状態では、炎症を引き起こす「好酸球」とよばれる細胞や、花粉症の症状の引き金となる「イムノグロブリンE(以下、IgE)」とよばれる抗体などが体内で多くなることが知られています。近年、花粉症の患者数は増加の一途をたどっており、東京都福祉保健局の調査によると2006年の日本の花粉症有病率は28.2%、1996年に比べると約1.5倍となっています。花粉症は、死に至るほど危険な疾患ではありませんが、仕事や学習などの日常生活に支障を来たすことから、症状を改善することが望まれています。
ブロッコリースプラウトには、スルフォラファンとよばれる成分が多く含まれています。このスルフォラファンが花粉症の指標のひとつであるIgEの産生を抑制することを、2006年にJunxiangらが細胞を用いた試験で報告しました。このことから、スルフォラファンを多く含むブロッコリースプラウトエキスの摂取が花粉症を抑制できるのではないかと考え、本研究を実施しました。

■研究概要

≪目的≫

ブロッコリースプラウト(以下、BS)エキスの摂取が花粉症に有効であるかを明らかにすることを目的とし、花粉症モデルマウスを用いて研究を行いました。

≪試験方法≫

マウスにスギ花粉の抽出物を投与することで炎症を誘導しました。その間BSエキスを混ぜた飼料を摂取させ、BSエキスがスギ花粉の抽出物によって誘導された炎症に与える影響を調べました。

表1.動物の群分け

1群  花粉(-)BS(-); スギ花粉抽出物を投与せず、通常飼料を摂取する群
2群  花粉(-)BS(+); スギ花粉抽出物を投与せず、BSエキスを含む飼料を摂取する群
3群  花粉(+)BS(-); スギ花粉抽出物を投与し、通常飼料を摂取する群
4群  花粉(+)BS(+); スギ花粉抽出物を投与し、BSエキスを含む飼料を摂取する群

花粉症の指標として、マウスの腹腔の洗浄液を採取し、その中の好酸球やIgEを測定しました。これらは、花粉症の状態で増加することが知られています。

≪結果≫

図1は、好酸球の割合を測定した結果です。3群:花粉(+)BS(-)に比べて4群:花粉(+)BS(+)では好酸球の割合が有意に低値を示しました。このことからBSエキスを摂取することでスギ花粉抽出物の投与によって誘導される好酸球が抑制されることが明らかになり、花粉症を抑制する効果を持つことが示唆されました。

図1.好酸球に与える影響

図1.好酸球に与える影響

図2は、IgEの測定結果を示したものです。好酸球の結果と同じように、3群:花粉(+)BS(-)に比べて4群:花粉(+)BS(+)ではIgEが有意に低値を示しました。このことからBSエキスを摂取することでスギ花粉抽出物の投与によって誘導されるIgEが抑制されることが明らかになり、花粉症を抑制する効果を持つことが示唆されました。

図2.IgEに与える影響

図2.IgEに与える影響

≪まとめ≫

今回の研究から、花粉症モデルマウスを用いた試験でブロッコリースプラウトエキスの摂取は、スギ花粉抽出物の投与によって誘導される好酸球やIgEを抑制することで炎症反応を抑えることが明らかになりました。
以上より、ブロッコリースプラウトエキスには花粉症を抑制する効果が期待できます。

■用語の説明

スルフォラファン:
ブロッコリーやその発芽物であるブロッコリースプラウトに多く含まれる成分で、解毒酵素の活性を高める作用や抗酸化酵素の活性を高める作用があることが知られています。植物の中では前駆物質であるスルフォラファングルコシノレートの状態で存在し、これが咀嚼などによって植物体の有する酵素と反応し、スルフォラファンに変化します。また、ヒトの腸内細菌の中にはこの酵素をもつものがいるため、腸管内でスルフォラファンに変化し、吸収されます。
IgE:
IgEとは、花粉症などのアレルギー状態の際に過剰に分泌される抗体のことです。実際に、花粉症の状態にあるときにIgE抗体の産生が高いことが知られています。IgEは花粉症などのアレルギー症状の引き金となる物質であり、花粉症の症状を引き起こす直接的な物質として知られるヒスタミンなどの産生を誘発します。
好酸球:
好酸球は、白血球のひとつであり、白血球の0から10%を占めることが知られています。好酸球は花粉症などのアレルギー反応が起こっている場所に多く集まる性質があります。

【資料】 学会発表の要旨

Sulforaphane glucosinolateはTh1/Th2バランスを調整することにより
マウスにおけるスギ花粉アレルギー反応を抑制する

入江雅彦 1)、福本敦 1)、石川信吾 2)、森啓信 2)、稲熊隆博 2)、谷中昭典 1)
1)東京理科大学 薬学部 臨床薬理学
2)カゴメ株式会社 総合研究所

【背景・目的】アレルギー性鼻炎の患者は年々増加しているが、薬物治療とともに、日常生活の中で実践できる予防法の確立が必要である。今回我々は食品であるブロッコリースプラウトに豊富に含まれるsulforaphane glucosinolate (SGS)に注目した。 SGSは経口摂取後、腸内細菌のmyrosinase によりsulforaphane に変換され、Nrf-2を介して抗酸化酵素を誘導し (P.Talalay et al. PNAS,1994)、抗炎症作用を発揮する(E. Heiss et al. JBC,2001)。本研究ではSGSの経口投与がマウスにおけるスギ花粉アレルギー反応を抑制するか否かについて検討した。

【方法】1.Balb/cマウス♂5週齢にスギ花粉の抗原タンパク質であるcry j 1を含有する花粉抽出粗タンパク質液を14日間にわたり皮下注射(0.16μg/kg)することで感作を行った。更に6日後、腹腔内に同様に投与し白血球の腹腔への誘導を行った。2.cry j 1感作マウス、非感作マウスをそれぞれSGS非投与群(通常飼料)、SGS投与群(通常飼料+ SGS 3.4mg/g)に割り当てた。3.実験開始21日目にマウスを屠殺して腹腔洗浄液を回収し、a)白血球数及び好酸球数を血球計算板で計測、b)total IgE、IFN-γ(Th1 cytokine), IL-4(Th2 cytokine)をELISAにて、c)抗酸化酵素(HO-1、GST)をRT-PCR法で解析した。

【結果】cry j 1感作により腹腔内に白血球誘導が認められ、好酸球の誘導が確認された。腹腔洗浄液中のtotal IgE、IL-4は増加したが、IFN-γは減少した。SGSはcry j 1による好酸球誘導、total IgEの上昇を著明に抑制し、IL-4とIFN-γをcontrol群に近い値に戻した。また、SGSはHO-1、GSTの発現を誘導した。

【結論】以上の成績より、SGSはTh1/Th2バランスを補正することによりアレルギー反応を抑制し、スギ花粉症による症状の悪化を予防する可能性が示唆された。

■お問い合わせは
カゴメ株式会社 お客様相談センター 0120-401-831 9:00-17:00(土日祝日を除く) 〒103-8461 東京都中央区日本橋浜町3丁目21-1
メールでのお問い合わせ お問い合わせフォームへ

このページのトップ

  • プライバシーポリシー

Copyright (C) KAGOME CO,. Ltd. All rights reserved.