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ブロッコリースプラウトエキスが慢性肝障害を抑制することを確認

2009年3月25日研究

カゴメ株式会社経営企画本部総合研究所(栃木県那須塩原市)は、ブロッコリースプラウトから抽出したエキスに慢性肝障害を抑制する効果があることを、動物を用いた試験で確認しました。
なお、本研究内容は日本農芸化学会2009年度大会(3月27日〜29日、福岡)において発表致します。

■カゴメ研究者のコメント

これまでにブロッコリースプラウトエキスに急性肝障害を抑制する効果があることを報告してきました(2008年度 日本食品科学工学会 第55回大会)。今回、慢性肝障害に対する効果を検討したところ、急性肝障害の場合と同様にブロッコリースプラウトに慢性肝障害を抑制する効果があることがわかりました。
体内に取り込まれた有害物質の解毒は肝臓を中心に行われますが、肝臓は「沈黙の臓器」と言われるように、病気を患ってもかなり病状が進んだ段階にならないと自覚症状があらわれません。今回の結果から、ブロッコリースプラウトを摂取することで肝臓の解毒作用が高まり、肝臓を障害から守ることが期待できます。

■研究の背景

野菜、特にブロッコリー、キャベツなどのアブラナ科野菜の摂取が、がんの発症率低下に寄与することが知られています。また、ブロッコリーには発がん物質などの無毒化に関与する酵素(以下、解毒酵素)を活性化する成分や、抗酸化作用を示す成分が豊富に含まれていることが報告されています。このような解毒酵素を活性化する成分としてスルフォラファンが知られており、その含有量はブロッコリーよりもブロッコリースプラウトに多いことが確認されています。
ところで、体内には食品や大気、飲料水あるいは飲酒や喫煙などを通して、日常的に様々な有害物質が運び込まれます。体内に侵入した有害物質は、血液を介して肝臓に集められ解毒されますが、肝臓の処理能力を超えた有害物質は肝臓にダメージを与えます。よって肝臓を正常な状態に保つためには、肝臓の解毒作用を十分に働かせることが重要となります。
そこで、今回ブロッコリースプラウトが有する解毒酵素の活性化作用に着目し、慢性的な肝臓への障害を予防できるかについて評価しました。

■研究概要

≪目的≫

慢性肝障害モデルとしてジメチルニトロソアミン(以下、NDMA)を動物に投与する評価系があります。この評価系を用いて、ブロッコリースプラウトの摂取による慢性肝障害の抑制について評価することを目的としました。
なお、試験に用いるブロッコリースプラウトにはスルフォラファンを多く含むブロッコリースプラウトエキス(以下、BS)を用いました。

≪試験の方法≫

ラットに通常飼料またはそれにBSを混ぜた飼料(以下、BS飼料)を摂取させ、その後4週間連続してNDMAを投与することで慢性肝障害を誘導しました。

表1.動物の群分け

1通常飼料を摂取させ、NDMAを投与しない群(以下、コントロール群)
2通常飼料を摂取させ、NDMAを投与する群(以下、N群)
3BS飼料を摂取させ、NDMAを投与する群(以下、N+BS群)

慢性肝障害抑制作用について、肝障害マーカーであるアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(以下、AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(以下、ALT)の血清中濃度を測定しました。また解毒酵素の活性化作用を評価するために肝臓中のグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(以下、GST)活性を測定しました。

≪結果≫

図1は、肝障害マーカーを測定した結果です。AST、ALTともにコントロール群と比較して、N群で酵素活性が有意に上昇しており、NDMA投与により慢性肝障害が誘導されたことが分かりました。一方でASTにおいてはN群と比較して、N+BS群で酵素活性が低下する傾向が認められ、またALTにおいては有意に低下しました。このことからBSを摂取することでNDMAによる慢性肝障害を抑制することが明らかとなりました。

1)血清中AST
2)血清中ALT 

コントロールを1として相対値で示した。(Means±S.D. Dunnett test *:p<0.05)

図1.肝障害マーカーに与える影響

図2は肝臓中の解毒酵素の活性を調べた結果です。コントロール群と比較して、N+BS群で解毒酵素の活性が有意に上昇しました。このことからBSを摂取することで解毒酵素が活性化され、肝臓の解毒作用が高まっていることが明らかとなりました。

コントロールを1として相対値で示した。(Means±S.D. Dunnett test *:p<0.05)

図2.GST活性に与える影響

≪まとめ≫

このようにブロッコリースプラウトエキスにはNDMA投与により誘導される慢性肝障害を抑制する作用があることが明らかとなりました。そのメカニズムとして肝臓中で解毒酵素が活性化され、肝臓の解毒作用が高まることが考えられました。
以上より、ブロッコリースプラウトには慢性肝障害を抑制する作用が期待できます。

■用語の説明

スルフォラファン:
ブロッコリーやその発芽物であるブロッコリースプラウトに多く含まれる成分で、解毒酵素の活性を高める作用や抗酸化酵素の活性を高める作用があることが知られています。植物の中では前駆物質であるスルフォラファングルコシノレートの状態で存在し、これが咀嚼などによって植物体の有する酵素と反応し、スルフォラファンに変化します。また、ヒトの腸内細菌の中にはこの酵素をもつものがいるため、腸管内でスルフォラファンに変化し、吸収されます。
肝障害マーカー:
肝臓が障害を受けたときに血液中に増加してくる成分。肝機能検査で調べられる項目の一つです。今回の試験には2つの肝障害マーカーを用いました。一つはASTで、この酵素はほとんどの臓器・組織・細胞に存在しています。外傷や細菌・ウイルスなどの感染で組織が破壊されると、血液中に漏れ出します。もう一つはALTで、主に肝臓に多く含まれます。肝臓がウイルス感染や薬物、あるいはがんなどのために破壊されると、血液中に漏れ出てきます。

【資料】学会発表の要旨

ブロッコリースプラウトによる慢性肝障害抑制作用の立証

○松本年弘、牛田悠介、稲熊隆博
(カゴメ株式会社 経営企画本部総合研究所)

【目的】アブラナ科野菜の摂取ががんの発症率低下に寄与していることが、疫学研究により示されている。そのうちブロッコリースプラウトはその有効成分であるスルフォラファングルコシノレート(SGS)により、解毒酵素・抗酸化酵素遺伝子を誘導することで、発がん物質などの有害物質の無毒化に関与していることが知られている。我々はこれまでにブロッコリースプラウトによる急性肝障害抑制作用について報告した1)。今回は慢性肝障害に対する効果について立証することを目的とした。
【方法・結果】ラットに通常飼料またはブロッコリースプラウト由来のSGS含有飼料(62.5mg、125mg、250mg /100g)を自由摂取させた。慢性肝障害の誘導剤にはN‐ニトロソジメチルアミンを用い、週3回(5mg/kg・day)、4週間投与することで慢性肝障害を誘導した。その後、血清中の肝障害マーカーを測定したところ、SGS含有飼料摂取群において有意な慢性肝障害の抑制作用が確認された。また、肝臓の第二相酵素活性を測定したところ、SGS含有飼料摂取群において有意な上昇が認められた。

1) 松本ら, 日本食品科学工学会 第55回大会講演集

■お問い合わせは
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